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第16回認知症ケア学会大会にて発表を行いました。

認知症ケア学会①

磯岡職員(左)と山﨑職員(右)

5月23日~24日に札幌で開催された「第16回日本認知症ケア学会大会」にて、

東京福祉会から2演題を発表させていただきました。

 

学会大会では、2日間で発表演題が口頭で132題、ポスター発表で約300題のほか、

特別講演8題、教育講演8題、シンポジウム13題などのプログラムが用意されており、

全国から最先端の認知症ケアのさまざまな取り組みや研究成果などが発信されます。

 

そのような場で発表できるということは、東京福祉会の取り組みが、

全国的にも評価されているということだと思います。

 

今後も質の高いケアを目指して職員一同精進していきたいと存じますので、

皆様の変わらぬご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 

 ◎一般社団法人日本認知症ケア学会 ホームページ(外部リンク)

 

 

 

認知症ケア学会②●山﨑職員

【発表演題】

「特別養護老人ホームにおける音楽療法の取り組み~対象者のニーズに合わせたグループサイズでの実践~」

 

【発表概要】

近年、音楽療法を取り入れている施設が増加していますが、音楽療法の実施には統一された方法はなく、実施する音楽療法士や施設によってまちまちです。そのような中で、当施設では介護職員と音楽療法士が連携を図り、対象者一人一人のニーズに合わせたグループサイズ(個別、小集団、大集団)を形成した音楽療法を実施したので報告しました。

音楽療法は月1回実施し、それぞれの実施時間は個別:10分(×2~3名)、小集団:30分(×2セッション)、大集団:60分を1日かけ実施。個別と小集団は対象者を決め、大集団は参加したい方誰もが参加できる形としました。活動は、音楽療法士1名と介護職員2名で行い、活動実施前後に打ち合わせの時間を持ち、対象者のニーズ等を検討していきました。

 

対象者のニーズについて分かったことは、個別では日中臥床して過ごされている方との言語・非言語コミュニケーションの手段、ご家族が対象者との思い出を共有する時間、個人的な音楽の趣味を楽しむ時間等が主なニーズでした。小集団では、日常では見られない他者との交流の機会、その人らしい一面を出せる時間となったということでした。大集団では、活動に注意を向け取り組める方にとっては、歌ったり場の雰囲気を楽しむことで気分転換や発散の場となったということでした。

 

対象者の今までの音楽との関わりや日常場面での様子、ご家族からの情報等を介護職員と音楽療法士で共有し、また活動中の対象者の様子を客観的に振り返り検討したこと等が、対象者のニーズに沿う活動の提供につながったものと考えます。当施設では、今後も音楽療法を継続し、利用者ニーズに沿った活動を提供していきます。

 

 

057●磯岡職員

【発表演題】

「身寄りのない認知症を持つ方への特別養護老人ホームができる在宅生活継続の支援~特別養護老人ホームを拠点とした地域包括ケアの取り組み~」

 

【発表概要】

身寄りがなく在宅で独居生活を送っていた方が、認知症の周辺症状から地域で孤立し、在宅生活を継続できずに特養へ入所するケースは多いなか、施設入所後、有効な支援ができれば、落ち着いた生活を取り戻すことができます。そのような中で、当施設が行った在宅での生活を取り入れた支援の取り組みについて事例をとおして報告しました。

 

 

 

061本人のニーズや課題を分析し、特養ができる支援を検討し、その上で、本人、施設職員、行政機関、地域の関係者と連携を取り、在宅生活の活用を模索し、その結果から「練馬高松園在宅復帰支援プログラム支援計画書」を作成、一時的な自宅訪問で在宅生活の可能性を見極めつつ、気分転換と不満の軽減を図ることを目的に試行していきました。

 

約5年間の取り組みの中で段階を経て終了となりましたが、現在は「家には世話をしてくれる者がいないからずっとここに居させて頂戴。」と施設で穏やかに過ごされています。

 

このように、地域での生活が困難と思われた身寄りのない認知症を持つ方でも、専門職や地域が連携を取り、必要な支援を受けられれば、在宅復帰でなくても在宅生活を取り入れることができること、そして、この取り組みにより、本人の主体性や能力を引き出すことにも繋がり、施設で完結しない援助の可能性を見つけることができました。